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よくある失敗と対策

多くの失敗は複雑系です。失敗に対して、一枚の簡単な処方箋で全てが解決するような例は稀です。したがって、ここでの例示は、典型的な失敗に対しての原則的な対応を紹介するに過ぎません。それでも、想像力を駆使すれば、失敗から学び、他の失敗に応用することが可能かもしれません。

分蜂ができない、スズメバチ侵入に失敗.JPG

「逃げられる!襲われる!」
ー分蜂群の取り込み直後に、逃げられる。巣門からオオズズメバチに侵入され襲われる。ー

 

​分蜂群取り込み直後の逃亡の原因は、取り込みと巣箱移動作業時の不手際で、ハチにストレスを与えたことや、巣箱の住環境が、ハチの好みと一致しないこと等が挙げられます。例えば、巣門のサイズ、内部容量、巣箱の異臭、内部の障害物有無も逃去の一因となります。

 

巣門(ハチの出入り口)のサイズは、スズメバチや、同じ日本ミツバチでも女王、雄、働きバチの体高の違いから、出入り可能な巣門の高さが、異なることを理解する必要があります。6~7mm前後の高さの巣門を確保しないと、未交尾女王の場合は交尾のための飛行を、働きバチの場合は採餌活動を阻害します。(「ハチマイッター」の装着は女王の逃亡を防止すると同時に、女王の交尾飛行や雄バチと働きバチの外勤を阻害します)

またスズメバチの来襲の期間に、それ以上に巣門を広げると危険です。

​通称「ハチマイッター」という女王逃亡防止器は、女王と働きバチの体高の違いを利用したものです。

キャプチャ.JPG

(注)上記のサイズは目安です。ミツバチの個体差により、すり抜けたり、スズメバチの侵入においては、巣箱の材質や厚さにより、稀に食い破って侵入することもあります。

「飼っているハチに、刺さされる!」

ー注意深く、入念に世話をしていた二ホンミツバチに刺されるー

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​日本ミツバチは、性格が温和で、西洋ミツバチと比べ刺すことは少ないと言われています。ただ、冬の寒さや食料不足等の、内外からのストレスに晒されると攻撃的なり刺すことがあります。飛行経路を妨げると、まれに交通事故のように、人体に衝突したとたんに、刺されたりします。ハチは頭部を集中的に襲う傾向があります。防具の装着前から帽子を被るなどして、髪の毛の中に潜られないよう注意しましょう。日本ミツバチは、大人しいからと素手で触れるYouTubeの動画や画像が散見されます。これも、状況と機会により限定されます。刺された後に後悔しないためにも、面倒でも防具を付けて対応することをお勧めします。

ハチ刺しによる「ハチ毒アレルギー」を防ぐためにも、防護衣や面布の装着は欠かせません。

装着したからと言って、万全ではありません。スズメバチは、専用の全身を覆う防護服が必要です。

防護具を装着しているにもかかわらず、内部に侵入されることもあります。たいていの場合は静かに防具を脱ぎ、ハチを外に出すことで解決できます。それでも刺されることもあります。ミツバチの防護具は、図のような、頭部、半身、全身を覆うように3つに大別されます。体を覆う部分が多いほど安全性は高まりますが、価格、脱着の手間、操作性、通気性などで劣ることもあります。

❶首より上の頭部を覆う面布
着衣についたハチは、衣服を伝わって上る傾向があります。首の周囲から侵入できないように前垂れ、後ろ垂れが付き、脇の下で紐を結ぶものがお勧めです。蚊よけ等の簡易なものはあまり、お勧めしません。

❷上半身を覆う防護衣

ハチは、防護していない下半身の着衣を伝わって上る傾向があります。防衣の下の部分がゴムか紐で結え、侵入を防ぐ構造のものがお勧めです。薄地のものは容易に蜂の針を通します。

​❸全身を覆う防護衣

全身を覆うものは、上記❶❷と比較して、はるかに防護性に優れています。ただ通気性に劣るものが多く夏は非常に暑く、脱着が容易なもの、通気性のよいもの、給水のため顔の部分または、半身が取り外し可能なものがお勧めです。薄地のものは、容易に蜂の針を通します。

「振り回される!」

​-ネットの記事や助言に、反って振り回され、待ち箱を置いているのに分蜂群を捕獲できない-

​日本ミツバチの生存率が低い地域では、初心者とベテランを問わず、分蜂群の確保は困難です。さらに優秀で健全な女王系統群の確保に至っては、飼育者全ての望みであると同時に悩みです。遠回りでも、自然林や里山を保護整備して蜜源を増やすことにより、全体を底上げし、地域で増やすのが良いと思います。実態は、逆の方向へ進んでいるような気がします。

分蜂群の確保は、魚釣りと似たところがあります。
①場所の選択 魚のいないところに釣り糸を垂れても、釣れません。
潮や水の流れ、魚のいる棚(水深)を読む必要があります。地域・エリア・ポイントに合わせる。

②道具の選択 魚に合った釣り道具の選択

③時期の選択 魚の食欲の増す時間、時期 魚が回遊する時間と時期の選択

​これを、分蜂群の確保になぞらえると、
場所の選択 以下の写真の場所です。ただし、これは一例です。想定外の場所もあります。
道具の選択 地域や場所により、キンリョウヘンや、ルアー等の誘引材が必携の場所もあります。また、飼育場所や営巣場所により、捕獲用具の有効性に差がでます。
時期の選択 温暖化により分蜂が早くなる傾向があります。分蜂のピークは地域や場所で異なりますが、地域全体としては、一気に大きく変動することはありません。待ち箱を設置する時期は、地域の分蜂情報を参考にしてください。

​巣箱内にミツロウを塗る、補助誘引材を使用する。可能な限り多くの有利な場所に、ハイブリッド巣箱のような有利な待ち箱(捕獲用巣箱)を多数置きます。すなわち「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」方法をとり、より有利な条件で、より有利な場所へ配置、または移動することです。当たり前のことを愚直に、状況に応じて、変化させながら続けることです。

 

 

詳しいことは、その地域の飼育経験に富んだフレンドリーな先達に、お尋ねください。自分にあった、よい指導者の選択と師事が、分蜂捕獲の王道かも知れません。ただ、教える側にも、生徒を選択する自由があるようです。

分蜂群を捕獲するのに、比較的有利と思われる場所の一部は、下の写真のとおりです。(必ず地主さん、敷地の管理者の許可を得てから、設置してください。無断で置くのは、法律に違反すると同時に、トラブルの元です。)

分蜂群捕獲の失敗例.JPG
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